孤立の背景

心理カウンセラーのニーズが高まり、テレビや雑誌、インターネット上でも『心理カウンセラー』の話しを見聞きする機会が増えました。
その背景には、心の中に重い物を抱える方が増えているということがあるのではないでしょうか。

 

ストレス社会と言われる中、人間関係が希薄になり、干渉されることを苦手とし、心の中に傷やしこりを抱えることで、心身の不調を訴える方が増えています。
では、昔はストレスがなかったのでしょうか。
高度成長期、日本のサラリーマンは会社に尽力し、社会に尽力し、家庭を顧みずにひたすら働きました。
それでも、今ほどストレスという言葉が行き交ったでしょうか。

 

その背景には、『自立』という言葉がカギとなって隠れているのではないでしょうか。
『自立』することが良いこととされ、子供には一人部屋を持たせ、歳をとっても『親の自立』を意識し、夫婦の自立、会社の中でも社会人として自立、学校でも地域でも自立していることを良いこととして声高に叫びます。
手を貸すことと過保護の境目が分からず、『できるようにすること』を目標として子供を育てて、子育てが終わるとお荷物にならないように『自分のことは自分でする高齢者』を目標とします。

 

この『自立』の背景に、『孤立』が見え隠れするのではないでしょうか。

 

助けてもらうことが恥ずかしく、自分でできることを良しとする。
自分のことさえできていればOKで、人のことへまで手を焼く必要はない。
また、逆に、自分が人を煩わせることもしない。
果たしてそうでしょうか。
助けてもらうことは恥ずかしいことではありません。
人間は皆、凸凹に過不足があります。
お互いに補い合い、助け合い、「ありがとう」と「ごめんなさい」が言える関係に、恐らく『孤立』は存在しないはずです。
助けてもらうことや甘えることに、恥ずかしさと罪悪感を覚えるようになり、いらぬプライドがそうすることを妨げているのではないでしょうか。

 

それは、自分でできることに褒め言葉をもらい、できないことに否定的な言葉を言われた結果とも言えるでしょう。
「自分のことは自分でしなさい」しつけの一環として、なんでもなく言われている言葉です。
そう言われて育つことで、他人にも同じことを求めます。

 

人間関係が希薄になった背景には、そのようなこともひとつの要因としてあるのではないでしょうか。
そして、人間関係が希薄になったことで、孤立感を強くし、心を病んでしまうケースも少なくありません。
弱みを見せたり、大切なことを相談できる相手がいないことで、心の隙間やしこりが大きくなってしまうこともあるでしょう。

 

『自立』することは素晴らしいことです。
しかし、やはり『孤立』に繋がらない『自立』を心掛けなくてはいけません。

 

「お陰さまです」「お互い様」という言葉は、まさにそれを表しているのではないでしょうか。
人間関係の構築に必要な、大切な言葉と言えますね。